子どものためにポケモンカードを探し回って…やっと見つけた1パックの物語**
「パパ、ポケカ買いに行こうよ!」
最近うちの子どもがずっとハマっているのが、ポケモンカード。
幼稚園の友達が持っているらしく、「ぼくもパック開けたい!」と毎日のように言う。
正直、子どもの“ブーム”というのはいつも突然やってきて、いつの間にか過ぎ去ることも多い。
でも、このキラキラした目でお願いされてしまうと弱い。
「よし、行くか。パパ頑張るわ。」
そう言って、久しぶりに休日を“ポケカ探索デー”にすることになった。
最初に向かったのは近所のイオン。
おもちゃ売り場へ行くと…案の定、棚は空。
「本日入荷分は完売しました」の札が、なんとも無情に立っている。
「え〜〜マジで!?買えないの?」
子どもは少し涙目。
ここで諦めるのは父としてダサすぎる。
「大丈夫。まだお店あるから!」
そう言って、次は家電量販店へ向かった。
ビックカメラ → 売り切れ
TSUTAYA → 影も形もなし
コンビニ巡り → 全滅
まるで伝説のポケモンを探しているかのような気分だ。
親子で歩きながら、「もしかして本当に出会えないんじゃないか?」と思う瞬間もあった。
でも、子どもはなぜかずっとワクワクした顔で歩いてくれていた。
「次のお店にはあるかもね!」
そんなポジティブさに、逆に励まされているパパ。
夕方になり、最後に立ち寄った小さめのスーパー。
おもちゃコーナーと言えるほどでもない、小さな棚の一角。
そこで、まさかの光景が待っていた。
なんと、ポケモンカードの最新パックが3つだけ残っていたのだ。
「パパ…ある!!」
子どもの声はほとんど叫びに近かった。
普段控えめな性格の子どもが、ここまで喜ぶ姿を見るのは珍しい。
色んな店で売り切れを見てきたせいもあって、その“1パックの価値”は本人の中でどんどん膨らんでいたのだろう。
正直、僕自身もめちゃくちゃ嬉しくて、心の中でガッツポーズをしていた。
「よくぞ残っていてくれた。」
本気でそう思った。
そしてそのうち1パックを手に取り、レジへ。
子どもはその袋をまるで宝物のように両手で抱えていた。
家に着くまでの道のりが、こんなに長く感じたことはない。
車内で子どもはずっと語っていた。
「もしピカチュウ出たらどうしよう?」
「サーナイトのキラが欲しいんだよね」
「ねぇパパ、開けていい?」
いや、それはもう家で開けよう(笑)
けど気持ちは分かる。
僕も昔はこんな感じで、パックを手にした瞬間からワクワクが止まらなかった。
帰宅して、テーブルの上にパックを置く。
部屋の空気が、ちょっとだけ特別になる瞬間だ。
「いっしょに開けよ!」
と言われたので、僕も隣に座る。
子どもは手が震えている。
パックの端をつまんで、ゆっくり、ゆっくりと破いていく。
その仕草があまりに可愛くて、つい笑ってしまった。
カードを1枚ずつ、慎重に重ねながら
「いーち、にーい、さーん…」
とめくっていく。
そして――
最後から2枚目が、光った。
「キラだ!!キラきた!!」
大きな声と一緒に、満面の笑み。
出てきたのは、まさかの“当たり枠”。
子どもにとっては大本命のカードではなかったけれど、キラが出たこと自体が嬉しくて仕方ない様子だ。
「パパ、これ大事にする!」
そう言って、スリーブに入れて宝物箱にしまっていた。
ただカードを買って開封しただけ。
大人から見ればそんな1日かもしれない。
でも、
・町中を歩き回ったこと
・なかなか見つからなくて二人で落ち込んだこと
・最後のスーパーで奇跡のように出会えたこと
・家で一緒にドキドキしながら開封したこと
全部含めて、これは親子の“小さな冒険”だった。
いつか子どもが大きくなったら、この日のことを覚えているかは分からない。
でも、僕はきっと忘れない。
たった1パックのポケモンカードが作ってくれた、かけがえのない1日だった。
「また行こうね、パパ!」
その一言で、今日の疲れが全部吹き飛んだ。
次の冒険も、きっと楽しい。